Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme
よく見るとそれはすべて人間の血です。この城を亡った赤松一族のあえなき最期の血液かも知れません」
「ウム、そうもあろう」
「私の毛穴は、そそけ立ち、私の血は、何ともいえぬ憤りを起しました。この中国に覇を唱えた祖先赤松一族の行方はどこにありましょう。茫として、去年の秋風を追うような儚い滅亡を遂げたままです。しかし、その血は、姿こそ変れ、子孫の体に、今もなお生きつつあります。不肖、新免武蔵もその一人です。故に、当城に私が住めば、開かずの間に、亡霊どもがふるい立ち、乱をなさないとも限りませぬ。――乱をとげて、赤松の子孫が、この城を取り戻せば、また一つ亡霊の間がふえるだけです。殺戮の輪廻をくり返すだけでしょう。平和をたのしんでいる領民にすみません」
「なるほど」
輝政は、うなずいた。
「では、再び宮本村へもどり、郷士で終るつもりか」
武蔵は、黙って微笑した。しばらくしてから、
「流浪の望みでござります」
「そうか」
沢庵のほうへ向って、
「彼に、時服と路銀をやれ」
「ご高恩、沢庵からも、有難くお礼を申します」
「お汝から、改まって礼をいわれたのは、初めてだな」
「ははは、そうかも知れませぬ」