Japanische Klassiker mit Furigana
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きどうむかしがたり
綺堂むかし語り
岡本 綺堂
Lesen Sie 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 183.656 Zeichen · 363 Bildschirme
それがまた馬鹿に景気のいいもので、それに惹かされると云うわけでもあるまいが、買手がぞろぞろと繋がってはいる。その混雑は実におびただしいものであった。
それらの商店のうちでも、絵草紙屋――これが最も東京の歳晩を彩るもので、東京に育った私たちに取っては生涯忘れ得ない思い出の一つである。絵草紙屋は歳の暮れにかぎられた商売ではないが、どうしても歳の暮れに無くてはならない商売である事を知らなければならない。錦絵の板元では正月を当て込みにいろいろの新版を刷り出して、小売りの絵草紙屋の店先を美しく飾るのが習いで、一枚絵もある、二枚つづきもある、三枚つづきもある。各劇場の春狂言が早くきまっている時には、先廻りをして三枚つづきの似顔絵を出すこともある。そのほかにいろいろの双六も絵草紙屋の店先にかけられる。そのなかには年々歳々おなじ版をかさねているような、例のいろは短歌や道中双六のたぐいもあるが、何か工夫して新しいものを作り出すことになっているので、武者絵双六、名所双六、お化け双六、歌舞伎双六のたぐい、主題はおなじでも画面の違ったものを撰んで作る。ことに歌舞伎双六は羽子板とおなじように、大抵はその年の当り狂言を撰むことになっていて、人物はすべて俳優の似顔であること勿論である。