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Japanische Klassiker mit Furigana

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きどうむかしがたり

綺堂むかし語り

岡本 綺堂

Lesen Sie 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 183.656 Zeichen · 363 Bildschirme

Aozora Bunko

茶碗

と呼びながら、蝙蝠を追い廻していたものだが、今は蝙蝠の影など絶えて見ない。秋の赤蜻蛉、これがまた実におびただしいもので、秋晴れの日には小さい竹竿を持って往来に出ると、北の方から無数の赤とんぼがいわゆる雲霞の如くに飛んで来る。これを手当り次第に叩き落すと、五分か十分のあいだに忽ち数十匹の獲物があった。今日の子供は多寡が二疋三疋の赤蜻蛉を見つけて、珍しそうに五人六人もで追い廻している。

きょうは例の赤とんぼ日和であるが、ほとんど一疋も見えない。わたしは昔の元園町がありありと眼の先に泛かんで、年ごとに栄えてゆく此の町がだんだんに詰まらなくなって行くようにも感じた。

茶碗

O君が来て古い番茶茶碗を呉れた。おてつ牡丹餅の茶碗である。

おてつ牡丹餅は維新前から麹町の一名物であった。おてつという美人の娘が評判になったのである。元園町一丁目十九番地の角店で、その地続きが元は徳川幕府の薬園、後には調練場となっていたので、若い侍などが大勢集まって来る。その傍に美しい娘が店を開いていたのであるから、評判になったも無理はない。

おてつの店は明治十八、九年頃まで営業を続けていたかと思う。