Japanische Klassiker mit Furigana
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きどうむかしがたり
綺堂むかし語り
岡本 綺堂
Lesen Sie 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 183.656 Zeichen · 363 Bildschirme
銀座
シナにこんな話がある。大勢の集まったところで虎の話が始まると、その中の一人がひどく顔の色を変えた。聞いてみると、その人はかつて虎に出逢って危うくも逃れた経験を有していたのである。私も馬車に轢かれそうになった経験があるので、交通事故には人一倍のショックを感じられてならない。
そのとき私のからだは無事であったが、抱えていた五月人形の箱は無論投げ出されて、金太郎も飾り馬もメチャメチャに毀れた。よんどころなく銀座へ行って、再び同じような物を買って持参したが、先方へ行っては途中の出来事を話さなかった。初の節句の祝い物が途中で毀れたなどと云っては、先方の人たちが心持を悪くするかも知れないと思ったからである。その男の児は成人に到らずして死んだ。(昭和10・8「文藝春秋」)
銀座
わたしは明治二十五年から二十八年まで満三年間、正しく云えば京橋区三十間堀一丁目三番地、俗にいえば銀座の東仲通りに住んでいたので、その当時の銀座の事ならば先ずひと通りは心得ている。すなわち今から四十余年前の銀座である。その記憶を一々ならべ立ててもいられないから、ここでは歳末年始の風景その他を語ることにする。