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Japanische Klassiker mit Furigana

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きどうむかしがたり

綺堂むかし語り

岡本 綺堂

Lesen Sie 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 183.656 Zeichen · 363 Bildschirme

Aozora Bunko

東京陵

夏季は夕立めいた雨にもしばしば出逢った。俄雨が大いに降ると、思いもよらない処に臨時の河が出来るので、交通に不便を来たすことが往々ある。臨時の河であるから知れたものだと、多寡をくくって徒渉を試みると、案外に水が深く、流れが早く、あやうく押し流されそうになったことも再三あった。何が捕れるか知らないが、その臨時の河に網を入れている者もある。

遼陽の南門外に宿っている時、宵から大雨、しかも激しい雷鳴が伴って、大地震のような地響きがするばかりか、真青な電光が昼のように天地を照らすので、戦争に慣れている私たちも少なからず脅かされた。

東京陵

遼陽の城外に東京陵という古陵がある。昔ここに都していた遼(契丹)代の陵墓で、周囲には古木がおいしげって、野草のあいだには石馬や石羊の横たわっているのが見いだされる。

伝えていう、月夜雨夜にここを過ぎると、凄麗の宮女に逢うことがある。宮女は笛を吹いている。その笛の音にひかれて、宮女のあとを慕って行くものは再び帰って来ないという。シナの小説にでもありそうな怪談である。

わたしはそれを宿舎の主人に聞きただすと、その宮女は夜ばかりでなく、昼でも陰った日には姿をあらわすことがあると云う。