Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きどうむかしがたり

綺堂むかし語り

岡本 綺堂

Lesen Sie 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 183.656 Zeichen · 363 Bildschirme

Aozora Bunko

三

しかしほかにも家作などをもっているので、店は他人にゆずって、自分たちは近所でしもた家暮らしをすることになった。ここの主人ももう六十を越えていた。徳さんの兄妹は時々ここへ遊びに行くらしかった。もう一人はさっき湯で逢った建具屋のおじいさんであった。この建具屋の店にも徳さんが腰をかけている姿を折りおりに見た。

こう列べて見渡したところで、徳さんの友達には一人も若い人はなかった。地主の長左衛門さんも、上田屋の主人も、徳さんとほとんど親子ほども歳が違っていた。建具屋の親方も十五、六の歳上であった。したがって、これらの老いたる友達は、頼りない徳さんをだんだんに振り捨てて、別の世界へ行ってしまった。上田屋の主人が一番さきに死んだ。長左衛門さんも死んだ。今生き残っているのは建具屋のおじいさん一人であった。

三

わたしの家では父が死んだのちに、おなじ路地のなかで南側の二階家にひき移って、わたしの家の水口がお玉さんの庭の板塀と丁度むかい合いになった。わたしの家の者が徳さんと顔を見合せる機会が多くなった。それでも両方ながら別に挨拶もしなかった。その時はわたしが徳さんの清元を聴いてからもう四、五年も過ぎていた。