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Japanische Klassiker mit Furigana

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きどうむかしがたり

綺堂むかし語り

岡本 綺堂

Lesen Sie 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 183.656 Zeichen · 363 Bildschirme

Aozora Bunko

雁と蝙蝠

おなじ果物を運びながらも、東京の馬力では詩趣も無い、詩情も起らない。いたずらに人の神経を苛立たせるばかりである。

雁と蝙蝠

七月二十四日。きのうの雷雨のせいか、きょうは土用に入ってから最も涼しい日であった。昼のうちは陰っていたが、宵には薄月のひかりが洩れて、涼しい夜風がすだれ越しにそよそよと枕元へ流れ込んで来る。

病気から例の神経衰弱を誘い出したのと、連日の暑気と、朝から晩まで寝て暮らしているのとで、毎晩どうも安らかに眠られない。今夜は涼しいから眠られるかと、十時頃から蚊帳を釣らせることにしたが、窓をしめ、雨戸をしめると、やはり蒸し暑い。十一時を過ぎ、十二時を過ぎて、電車の響きもやや絶えだえになった頃から少しうとうとして、やがて再び眼をさますと、襟首には気味のわるい汗がにじんでいる。その汗を拭いて、床の上に起き直って団扇を使っていると、トタン葺きの家根に雨の音がはらはらと聞える。そのあいだに鳥の声が近くきこえた。

それは雁の鳴く声で、お堀の水の上から聞えて来ることを私はすぐに知った。お堀に雁の群れが降りて来るのは珍しくないが、それには時候が早い。