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Japanische Klassiker mit Furigana

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きどうむかしがたり

綺堂むかし語り

岡本 綺堂

Lesen Sie 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 183.656 Zeichen · 363 Bildschirme

Aozora Bunko

どんぐり

という貼札をするがいいと云うことになった。新聞にもそんなことを書いた。勿論、新聞ではそれを奨励した訳ではなく、単に一種の記事として、昨今こんなことが流行すると報道したのであるが、それがいよいよ一般の迷信を煽って、明治二十三、四年頃の東京には「久松留守」と書いた紙札を軒に貼り付けることが流行した。中には露骨に「お染御免」と書いたのもあった。

二十四年の二月、私は叔父と一緒に向島の梅屋敷へ行った。風のない暖い日であった。三囲の堤下を歩いていると、一軒の農家の前に十七、八の若い娘が白い手拭をかぶって、今書いたばかりの「久松るす」という女文字の紙札を軒に貼っているのを見た。軒のそばには白い梅が咲いていた。その風情は今も眼に残っている。

その後にもインフルエンザは幾たびも流行を繰り返したが、お染風の名は第一回限りで絶えてしまった。ハイカラの久松にりつくには、やはり片仮名のインフルエンザの方が似合うらしいと、私の父は笑っていた。そうして、その父も明治三十五年にやはりインフルエンザで死んだ。

どんぐり

時雨のふる頃となった。

この頃の空を見ると、団栗の実を思い出さずにはいられない。