Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きどうむかしがたり

綺堂むかし語り

岡本 綺堂

Lesen Sie 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 183.656 Zeichen · 363 Bildschirme

Aozora Bunko

夏季雑題

市中の夏

ただ賑わうのは毎月三回、出世地蔵の縁日の宵だけであるが、それとても交通不便の時代、遠方から来る人もなく、往来のまん中で犬ころが遊んでいた。

今日の銀座が突然ダーク・チェンジになって、四十余年前の銀座を現出したら、銀ブラ党は定めて驚くことであろう。(昭和11・1「文藝春秋」)

夏季雑題

市中の夏

市中に生まれて市中に暮らして来た私たちは、繁華熱鬧のあいだにもおのずからなる涼味を見いだすことに多年馴らされている。したがって、盛夏の市中生活も遠い山村水郷は勿論、近い郊外に住んでいる人々が想像するほどに苦しいものではないのである。

地方の都市は知らず、東京の市中では朝早くから朝顔売りや草花売りが来る。郊外にも売りに来るが、朝顔売りなどはやはり市中のもので、ほとんど一坪の庭をも持たないような家つづきの狭い町々を背景として、かれらが売り物とする幾鉢かの白や紅やむらさきの花の色が初めてあざやかに浮き出して来るのである。郊外の朝顔売りは絵にならない。夏のあかつきの薄い靄がようやく剥げて、一町内の家々が大戸をあける。店を飾り付ける。水をまく。そうして、きょう一日の活動に取りかかろうとする時、かの朝顔売りや草花売りが早くも車いっぱいの花を運んで来る。