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Japanische Klassiker mit Furigana

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きどうむかしがたり

綺堂むかし語り

岡本 綺堂

Lesen Sie 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 183.656 Zeichen · 363 Bildschirme

Aozora Bunko

軍によってほとんど占領せられ、年賀の人などは紙鳶の下をくぐって往来したくらいであった。暮れの二十日頃になると、玩具屋駄菓子店などまでがほとんど臨時の紙鳶屋に化けるのみか、元園町の角には市商人のような小屋掛けの紙鳶屋が出来た。印半纒を着た威勢のいい若い衆の二、三人が詰めていて、糸目を付けるやら鳴弓を張るやら、朝から晩まで休みなしに忙がしい。その店には、少年軍が隊をなして詰め掛けていた。

紙鳶は種類もいろいろあったが、普通は字紙鳶、絵紙鳶、奴紙鳶で、一枚、二枚、二枚半、最も多いのは二枚半で、四枚六枚となっては子供には手が付けられなかった。二枚半以上の大紙鳶は、職人か、もしくは大家の書生などが揚げることになっていた。松の内は大供小供入り乱れて、到るところに糸を手繰る。またその間に娘子供は羽根を突く。ぶんぶんという鳴弓の声、かっかっという羽子の音。これがいわゆる「春の声」であったが、十年以来の春の巷は寂々寥々。往来で迂闊に紙鳶などを揚げていると、巡査が来てすぐに叱られる。

寒風に吹き晒されて、両手に胼を切らせて、紙鳶に日を暮らした三十年前の子供は、随分乱暴であったかも知れないが、襟巻をして、帽子をかぶって、マントにくるまって懐ろ手をして、無意味にうろうろしている今の子供は、春が来ても何だか寂しそうに見えてならない