Japanische Klassiker mit Furigana
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きどうむかしがたり
綺堂むかし語り
岡本 綺堂
Lesen Sie 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 183.656 Zeichen · 363 Bildschirme
三月半年と経つうちに、近所の人はだんだんに遠退いてしまって、お玉さんの兄妹は再び元のさびしい孤立のすがたに立ち帰った。
それでも或る世話好きの人がお玉さんに嫁入りさきを媒妁しようと、わざわざ親切に相談にゆくと、お玉さんは切り口上でことわった。
「どうせ異人の妾だなんて云われた者を、どこでも貰って下さる方はありますまい。」
その人も取り付く島がないので引き退がった。これに懲りて誰もその後は縁談などを云い込む人はなかった。
詳しく調べたならば、その当時まだほかにもいろいろの出来事があったかも知れないが、学校時代のわたしは斯うした問題に就いてあまり多くの興味をもっていなかったので、別に穿索もしなかった。むかしのお玉さん一家に関して、わたしの幼い記憶に残っているのは先ずこのくらいのことに過ぎなかった。
こんなことをそれからそれへと手繰り出して考えながら、わたしはいつの間にか流し場へ出て、半分は浮わの空で顔や手足を洗っていた。石鹸の泡が眼にしみたのに驚いて、わたしは水で顔を洗った。それから風呂へはいって、再び柚湯に浸っていると、薬局生もあとからはいって来た。