Japanische Klassiker mit Furigana
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きどうむかしがたり
綺堂むかし語り
岡本 綺堂
Lesen Sie 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 183.656 Zeichen · 363 Bildschirme
ようように宥めて人力車に乗せると、お玉さんは幌をかけることを嫌った。
「畜生。べらぼう。百姓。ざまあ見やがれ。」
お玉さんは町じゅうの人を呪うように大きな声で叫びつづけながら、傲然として人力車にゆられて行った。わたしは路地の口に立って見送った。建具屋のおじいさんと徳さんとは人力車のあとに付いて行った。
「妹もながなが御厄介になりました。」
巣鴨から帰って来て、徳さんは近所へいちいち挨拶にまわった。そうして、その晩のうちに世帯をたたんで、元の貸本屋の上田屋の二階に同居した。そのあとへは更に手入れをして質屋の隠居さんが越して来た。近所ではあるが町内が違うので、わたしはその後徳さんの姿を見かけることはほとんど無かった。
それからまた二年過ぎた。そうして、柚湯の日に徳さんの死を突然きいたのである。徳さんの末路は悲惨であった。しかし徳さんもお玉さんもあくまで周囲の人間を土百姓と罵って、自分たちだけがほんとうの江戸っ児であると誇りつつ、長い一生を強情に押し通して行ったかと思うと、単に悲惨というよりも、むしろ悲壮の感がないでもない。
そのあくる日の午後にわたしは再び建具屋のおじいさんに湯屋で逢った。