Japanische Klassiker mit Furigana
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きどうむかしがたり
綺堂むかし語り
岡本 綺堂
Lesen Sie 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 183.656 Zeichen · 363 Bildschirme
では無かったろうか。
「塩竈街道に白菊植えて」と、若い男が唄って通った。尼も塩竈街道に植えられて、さびしく咲いて、寂しく萎んだ白菊であった。
これは比較的に有名な話で、今さら紹介するまでも無いかも知れないが、将門の娘と同じような運命の女だと云うことが、わたしの心を惹いた。
松島の観音堂のほとりに「軒場の梅」という古木がある。紅蓮尼という若い女は、この梅の樹のもとに一生を送ったのである。紅蓮尼は西行法師が「桜は浪に埋もれて」と歌に詠んだ出羽国象潟の町に生まれた、商人の娘であった。父という人は三十三ヵ所の観音詣でを思い立って、一人で遠い旅へ迷い出ると、陸奥松島の掃部という男と道中で路連れになった。掃部も観音詣での一人旅であった。二人は仲睦まじく諸国を巡礼し、つつがなく故郷へ帰ることになって、白河の関で袂を分かった。関には昔ながらの秋風が吹いていたであろう。
その時に、象潟の商人は尽きぬ名残を惜しむままに、こういう事を約束した。私には一人の娘がある、お前にも一人の息子があるそうだ。どうか此の二人を結び合わせて、末長く睦み暮らそうではないか。
掃部も喜んで承諾した。