Japanische Klassiker mit Furigana
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きどうむかしがたり
綺堂むかし語り
岡本 綺堂
Lesen Sie 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 183.656 Zeichen · 363 Bildschirme
紅蓮尼はここに庵を結んだ。
さけかしな今はあるじと眺むべし
軒端の梅のあらむかぎりは
嘘か本当か知らぬが、尼の詠み歌として世に伝えられている。尼はまた、折りおりの手すさびに煎餅を作り出したので、のちの人が尼の名を負わせて、これを「紅蓮」と呼んだと云う。
比丘尼坂でも甘酒を売っている。松島でも紅蓮を売っている。甘酒を飲んで煎餅をかじって、不運な女二人を弔うと云うのも、下戸のわたしに取ってはまことにふさわしいことであった。
最後には「先代萩」で名高い政岡を挙げる。私はいわゆる伊達騒動というものに就いて多くの知識を持っていない。仙台で出版された案内記や絵葉書によると、院本で名高い局政岡とは三沢初子のことだそうで、その墓は榴ヶ岡下の孝勝寺にある。墓は鉄柵をめぐらして頗る荘重に見える。
初子は四十八歳で死んだ。かれは伊達綱宗の側室で、その子の亀千代(綱村)が二歳で封をつぐや、例のお家騒動が出来したのである。私はその裏面の消息を詳しく知らないが、とにかく反対派が種々の陰謀をめぐらした間に、初子は伊達安芸らと心をあわせて、陰に陽に我が子の亀千代を保護した。