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Japanische Klassiker mit Furigana

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きどうむかしがたり

綺堂むかし語り

岡本 綺堂

Lesen Sie 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 183.656 Zeichen · 363 Bildschirme

Aozora Bunko

そんな座敷があったとしても、それは僅かに二間か三間で、特別の客を入れる用心に過ぎず、普通はみな八畳か六畳か四畳半の一室で、甚だしきは三畳などという狭い部屋もある。

いい座敷には床の間、ちがい棚は設けてあるが、チャブ台もなければ、机もない。茶箪笥や茶道具なども備えつけていないのが多い。近来はどこの温泉旅館にも机、硯、書翰箋、封筒、電報用紙のたぐいは備えつけてあるが、そんなものはいっさい無い。

それであるから、こういう所へ来て私たちの最も困ったのは、机のないことであった。宿に頼んで何か机を貸してくれというと、大抵の家では迷惑そうな顔をする。やがて女中が運んでくるのは、物置の隅からでも引摺り出して来たような古机で、抽斗の毀れているのがある、脚の折れかかっているのがあるという始末。読むにも書くにも実に不便不愉快であるが、仕方がないから先ずそれで我慢するのほかは無い。したがって、筆や硯にも碌なものはない。それでも型ばかりの硯箱を違い棚に置いてある家はいいが、その都度に女中に頼んで硯箱を借りるような家もある。その用心のために、古風の矢立などを持参してゆく人もあった。