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Japanische Klassiker mit Furigana

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きどうむかしがたり

綺堂むかし語り

岡本 綺堂

Lesen Sie 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 183.656 Zeichen · 363 Bildschirme

Aozora Bunko

」と、記者は答えた。

「あなたは酒を飲みませんか。」

「飲みません。」

「わたくしも若いときには少し飲みましたが、年を取っては一向いけません。この徳利も退屈しのぎに列べてあるだけで……。」

「ふだんはともあれ、花見の時に下戸はいけませんね。」

「そうかも知れません。」と、老人は笑った。

「だが、芝居でも御覧なさい。花見の場で酔っ払っているような奴は、大抵お腰元なんぞに嫌われる敵役で、白塗りの色男はみんな素面ですよ。あなたなんぞも二枚目だから、顔を赤くしていないんでしょう。あははははは。」

こんなことから話はほぐれて、隣り同士が心安くなった。老人がむかしの浅草の話などを始めた。老人は痩せぎすの中背で、小粋な風采といい、流暢な江戸弁といい、紛れもない下町の人種である。その頃には、こういう老人がしばしば見受けられた。

「お住居は下町ですか。」と、記者は訊いた。

「いえ、新宿の先で……。以前は神田に住んでいましたが、十四五年前から山の手の場末へ引っ込んでしまいまして……。馬子唄で幕を明けるようになっちゃあ、江戸っ子も型なしです。」と、老人はまた笑った。

だんだん話しているうちに、この老人は文政六年未年の生まれで、ことし六十九歳であるというのを知って、記者はその若いのに驚かされた。