Japanische Klassiker mit Furigana
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きどうむかしがたり
綺堂むかし語り
岡本 綺堂
Lesen Sie 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 183.656 Zeichen · 363 Bildschirme
きょうは朝から快晴で、満洲の空は高く澄んでいる。まことに申し分のない中秋である。午後六時を過ぎた頃に、明月が東の空に大きく昇った。ここらの月は銀色でなく、銅色である。それは大陸の空気が澄んでいるためであると説明する人もあったが、うそか本当か判らない。いずれにしても、銀盤とか玉盤とか形容するよりも、銅盤とか銅鏡とかいう方が当っているらしい。それが高く闊い碧空に大きく輝いているのである。
この家の主人夫婦、男の児、女の児、主人の弟、そのほかに幾人の雇人らが袖をつらねて門前に出た。彼らは形を正して、その月を拝していた。それから私たちを母屋へ招じ入れて、中秋の宴を開くことになったが、案の如くに種々の御馳走が出た。豚、羊、鶏、魚、野菜のたぐい、あわせて十種ほどの鉢や皿が順々に運び出されて、私たちは大いに満腹した。そうしてお世辞半分に「好々的」などと叫んだ。
宴会は八時半頃に終って、私たちは愉快にこの席を辞して去った。中には酩酊して、自分たちの室へ帰ると直ぐに高鼾で寝てしまった者もあった。あるいは満腹だから少し散歩して来るという者もあった。私も容易に眠られなかった。