후리가나로 읽는 일본 고전
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どうひょう
道標
宮本 百合子
宮本 百合子의 道標(どうひょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 846,457자 · 1672화면
をよんでいる人々の間に、話声はなかった。轟音をたて、パリの地底を北へ北へと突進しているメトロの中で、つめこまれ、かたまって揺られている労働者たちは、無言で、ひとりひとりの生活につながる注意ぶかさで共産党の機関紙をよんでいる。そこには労働者である人々の、階級の朝の光景があるのだった。
朝出の労働者の黒い林と、うちつづく「リュマニテ」の波の下に、背の低い伸子の体がうずまった。動揺につれて隣りの労働者がよんでいる新聞の端が伸子のベレー帽をかすめる。そのたびに伸子は、印刷されたばかりの真新しいインクの強いにおいをかぎとった。
いつも十時ごろのメトロにのって、腹の太くなりはじめた年輩の山高帽の男たちが、云いあわせたように「人民の友」をひろげている光景ばかりを伸子は見なれて来た。そして、「マ・タン」をよむような階級の男女は、大抵自動車をつかって居り、メトロにのるにしても一等車にのり、伸子がいつものっている並等には入って来ないことをも知っていた。だけれども、朝七時のメトロがこんなにも壮観な労働者階級の生活を満載して走っていようとは。――
モンパルナス停車場は、パリ市内へ向ってはき出されて来る通勤人でこみあっているけれども、その時刻にパリから出てゆく人は少くて、伸子と蜂谷良作の乗った車室は、ほとんどがらあきだった。