후리가나로 읽는 일본 고전
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どうひょう
道標
宮本 百合子
宮本 百合子의 道標(どうひょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 846,457자 · 1672화면
働きに出る多勢の人をつんで、いそいでやって来た汽車は、こんどはゆっくり市外へ引かえしてゆくという風に、一つの駅に停るごとにバタンと重い音を立てて狭いドアを開閉させながら、上天気になった郊外の朝景色の間をだんだん東へ、丘陵の重なるロレーヌ地方へとすすんでゆく。
車窓には、眩しくない方角からの朝日がきらめいた。伸子は、窓ぎわへかけて飽かず外の景色を眺めた。蜂谷良作は、車体いっぱいの幅にはられている奥ゆきの深い板の座席の、伸子からはなれたところに脚をくんで、ポケット地図をひろげている。伸子は何か云いたそうにして、一二度蜂谷の方を見た。すがすがしい初冬の朝の景色、閑散な汽車のなかは伸子を遠足の気分にくつろがせ、ものを云いたい気持にさせている。トロカデロを長く歩いた夜以来、蜂谷良作はそれまでのように伸子のために資本論を講義し、つれだって出かけもしているが、二人きりになると、とけないぎごちなさがのこった。それは蜂谷の正直なぎごちなさからだと思われ、ときには、彼として伸子に傷つけられた感情のあることを知らしている態度かとも思われた。同じ座席にはなれてかけて、地図を見ている蜂谷良作の沈黙をやぶって自分のおしゃべりにまきこんで行くほど、伸子は天真爛漫でもないのだった。