후리가나로 읽는 일본 고전
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どうひょう
道標
宮本 百合子
宮本 百合子의 道標(どうひょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 846,457자 · 1672화면
金もちとも云われない階級の佐々一家が、何のために家じゅう、小さい娘までをひきつれて、外国へ来るのか。モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)でその通知をうけとったときから、娘の伸子にしろ、こんどの思いたちのなかにどことなく自然でないものを感じつづけている。パリで、一緒になってからの生活が思いやられて、伸子はそれまでに自分と素子とのパリでの暮しの根じろをきめ、ごたついても崩されない自分たちとしての生活感情をとおしておきたいと一ヵ月も前にパリへ来てその準備をして来た。いよいよみんなが七月一日にマルセーユにつくとわかったとき、伸子は、人知れぬ深い息を胸のなかにためて、そっとそれをはきだす思いだった。
娘である伸子の、それを重荷としていることをかくそうとしないそぶりは、素子はもとよりのこと、増永修三にも、パリへ来かかっている泰造や多計代を厄介に感じさせるたすけとなったかもしれなかった。
外の景色を眺める気晴らしもなくなった夜行列車のひとすみで、伸子は、はるばる日本から来るうちのものを、こういう気分で迎えようとしていることをやっぱり悲しく感じた。これには自分の責任もある。