轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

さぶ

さぶ

山本 周五郎

「週刊朝日」 1963(昭和38)年1月4日号~7月5日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 210,521 字 · 415 页

青空文庫

そこまで聞いて栄二は立ちあがった。そして次郎吉のほうへ歩み寄りながら、勝あにい、と呼びかけた。次郎吉が振り向き、周囲にいた人足たちもなにごとかというように、二人のほうへ眼を向けた。

「なかまでは慥か、勝あにいと呼ばれていたっけな」と栄二は云った、「ちょっと話があるんだ、外へ出てくれ」

「なんだって、どうして」次郎吉は眼をそばめながらひどく吃った、「おらあ次郎吉っていう名で、勝あにいなんていう者は知らねえが」

「外へ出ればわかるよ」

「おめえはなにか人違いをしているんだ」

「外へ出ろっていうんだ」栄二は拳をあげて次郎吉の顔を殴った、「――てめえは忘れたかもしれねえがこっちは覚えてるぞ、女衒の六、外へ出たくねえのなら、ここでてめえのしたことをばらしてやろうか」

「お、おらあ」次郎吉は舌が硬ばったのだろう、すぐにはあとの言葉が続かず、救いを求めるように周囲の男たちを見まわした、「頼む、あにいたち、この男は」

そう云いかけたが、誰の顔にも軽侮と憎悪の色しかあらわれていないのを見ると、彼はいきなり土間へとびおり、引戸をあけて外へとびだした。栄二もすぐにあとを追い、部屋にいた人足たちの殆んどが、そのあとに続いて走り出た。