轻松读懂日语经典作品
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さぶ
さぶ
山本 周五郎
「週刊朝日」 1963(昭和38)年1月4日号~7月5日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 210,521 字 · 415 页
十四の六
松田権蔵が眼を剥いた、「なんだと、おめえそんな芸当ができるのか」
「芸当たあ痛えな」
「やっておくれ」と与平が云った、「それで今夜のおめでたが締るよ」
万吉はうたい始めた。
十四の六
万吉はいい声だったが、明らかに木遣りの声であったし、節まわしも木遣りそのままであった。もとが鳶の者だからしぜんとそうなるのだろう、月もろともにいでふねの、というところまでくると、自分で急に笑いだし、額を二つ三つ叩きながら、躯をゆすってげらげらと笑いこけた。
「てめえで笑ってりゃあ世話あねえや、このすっとこどっこい」と松田がどなった、「せっかく無事におさまるところを、てめえのおかげで茶番になっちまったぞ」
「そんなことはないよ松田さん」と栄二が云った、「本式にやってもらうより、たとえへたでも祝ってやろうという、友達の気持のほうがよっぽど有難い、万さん有難うよ」
「さあ松田さん」と与平が徳利を取って差出した、「今夜は格別だ、たまには裃をぬいで酔いませんか」
「かみしもだと」松田はまた眼を剥いた。
「それが松田さんの裃だ」と伝七がなにか喰べながら云った、「あんたは自分の気性のやさしいのを隠すために、わざと乱暴な口をききなさる、私どもにはもうわかっているんだから、そうむりをなさるこたあねえですよ」