轻松读懂日语经典作品
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さぶ
さぶ
山本 周五郎
「週刊朝日」 1963(昭和38)年1月4日号~7月5日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 210,521 字 · 415 页
一の四
と栄二は答えた、「何年も会わなかったわけじゃない、たった二年ここへ来なかっただけじゃありませんか」
「あたしも大きくなったでしょ」
「こんちは」と栄二は廊下にいるおきみに呼びかけた、「暫くでした」
おきみはおっとりと頷いて、いらっしゃいと、ゆっくり云った。
一の四
そこへ主人の徳兵衛がはいって来、多市が紙見本をひろげた。徳兵衛は相変らず酒臭い息をしていた。
「ちょっと来てよ、栄ちゃん」とおそのが云った、「あんたに見せたいものがあるのよ」
「そのちゃん」と廊下でおきみが云った。
「ねえ、お父っさんいいでしょ」とおそのが父親に鼻声で云った、「栄ちゃんにちょっと見せたいものがあるのよ、あっちへ来てもらってもいいわね」
姉がまた「そのちゃんったら」とたしなめ、徳兵衛は無関心に手を振って、「うるさい、好きなようにしろ」と云った。栄二は救いを求めるように多市を見たが、多市は笑いもせずに、顎をしゃくって、ゆけよ、という表情をした。
「さあ、栄ちゃん」とおそのは彼の手を取った、「ねえ、早く」
あのころのままだな、と栄二は思った。兄弟子たちとここへ仕事に来ると、必ずこの姉妹につかまって遊び相手をさせられた。