轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

さぶ

さぶ

山本 周五郎

「週刊朝日」 1963(昭和38)年1月4日号~7月5日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 210,521 字 · 415 页

青空文庫

いまでも心学講話と習字にかよう者はあるようだが、もっこ部屋だけに限れば、正月になってからみなやめてしまい、いつともなく、栄二のまわりに並ぶ机の数が多くなっていた。

「おい、一丁やらねえか」と義一が花札を巧みに切りながら呼びかける、「勝ち負けの勘定は月末でいいんだぜ」

そして、茣蓙を四つに折ったのへ、花札を打ちつけてみせる。よほど熟練しているのだろう、札の切りかたもみごとだし、茣蓙へ打ちつける音も冴えていた。小博奕で送られて来たという金太には、さぞたまらない誘惑だったろう、その音を聞くたびに、躯ぜんたいでいまにものめり込みそうにみえた。

「おい、誰かやる者はねえのか」と義一は唆す、「寺子屋がよいのがきじゃああるめえし、寄場人足が字を習うなんざあきちげえ沙汰だぜ」

栄二と机を並べていた万吉が、なにをと云って立とうとした。栄二はすばやく手を伸ばし、万吉の腕を掴んで、よせと囁きながら坐らせた。ほんの一瞬のことだったが、義一は見のがさなかった。

「おいそこの若いの」と彼は万吉に顎をしゃくった、「おめえだよ、そのちんばの隣りにいる野郎、てめえいまなんとか云ったようだな」