轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
さぶ
さぶ
山本 周五郎
「週刊朝日」 1963(昭和38)年1月4日号~7月5日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 210,521 字 · 415 页
人間が集まってかたちづくる世界には、必ず善と悪とのせめぎあいがあり、善だけに統一することも、悪だけに占められることもない。特にこの寄場の「牢ではない」という原則には、多くの矛盾やあいまいな点があって、掟に違反した者の処罰には、当惑する場合が少なくないし、それをよく見ぬいていて、巧みに法を犯す者もあとを断たない。これらは表面にはあらわれないが、自分などには早くからわかっていた。
「義一らがなにをしているかも、私には初めからわかっていたのだ」と岡安喜兵衛は云った、「こういうことはこんどが初めてではなく、まえにも幾たびかあったことだし、その多くの場合は下役人が買収されたものだ」
もっこ部屋のことに気づいたときは、すでに小島良二郎と他の二人の下役人が、義一らにまるめこまれていることがわかった。自分は元締役で、人足たちと直接のかかりあいはない。人見張役、差配、各部屋の世話人、小頭などの報告によって、それぞれの裁決をするのであり、これを無視して人足部屋のことに手を付ける権限はない。なにか表沙汰になるような事が起こればべつだが、それを待たずにうっかり手出しをすると、寄場ぜんたいの騒動になりかねない。