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さぶ
さぶ
山本 周五郎
「週刊朝日」 1963(昭和38)年1月4日号~7月5日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 210,521 字 · 415 页
――奉行はそれをどう受取ったろうか、成島治右衛門は同心たちの弁護をとりあげるようすもなく、翌日すぐに町奉行へ使者を出した。寄場における賞罰は、すべて町奉行の許可を得なければならないからだ。そして栄二は、この部屋へ押籠められたのである。
「おまえが小島や下役人の名を出さず、博奕のことも口にしなかったのはよかった」と岡安は続けていた、「――もしもこれらのことが明らかになったら、もともと寄場の制度に反対な成島どのは、町奉行へどんな進言をするかわからないし、そうなれば事は、この寄場の存廃にかかわるところまで発展するかもしれなかった」
私はこの寄場を確保し、育ててゆきたいと思う。現在の制度にはいろいろ欠陥があるにしても、犯罪者になりそうな性格や境遇にある者を、犯罪者になることから護り、職業と資金を身につけて世間へ復帰させる、ということには大きな意義があるし、人口の増加と生活状態とで、ますますむずかしくなる江戸という大きな世帯では、これからもっと重要な役割を負うことになるだろう。
「おまえ一人に事を押しつけたようだが、私には私で思案があった、ということを知ってもらいたい」