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さぶ
さぶ
山本 周五郎
「週刊朝日」 1963(昭和38)年1月4日号~7月5日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 210,521 字 · 415 页
「ええ、ひとり娘ですよ」と平蔵は休みなしに煙草をふかしながら云った、「ひとり娘ですがご心配はいりません、私は私でやってゆきます、女っていうものは、としごろになるとたんに、親からはなれちまうもんです、親の側にいるうちは、いちにんまえの女にはなれないようです」
おすえが十三になった年、平蔵が彼女を呼んで叱ろうとした。そのころは妻女もまだ生きていて、ひとり娘のおすえを大事にし、わがままいっぱいに育てた。だが十三にもなれば、そろそろ躾もしなければならないと思い、なにが原因だったか忘れたけれども、小言を云おうとして呼んだ。するとおすえは「はい」と云って立って来た。はいと云うその声と調子とは、昨日までのおすえのものではなかった。
「私やおふくろに物をねだったり、だだをこねたりしていた声ではないんです」と平蔵は静かに続けた、「――なんて云いますかな、まあひとくちに云うと、小娘から女になった声、といったようなものでしょう、親の私たちとはもう縁が切れたな、と私はそのとき思いました」
その時期がくれば、娘たちは知らないうちに親からはなれる準備ができるものだ。私はそのときもうおすえは「自分たちの娘」