轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
さぶ
さぶ
山本 周五郎
「週刊朝日」 1963(昭和38)年1月4日号~7月5日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 210,521 字 · 415 页
十六の二
「それを云われると困るんだ」
「ほかのことは云わねえ、おめえが病気になって、養生に帰ったときのことだけでもたくさんだ、痩せこけて、足だけ倍にもむくんでる病人を、物置小屋に放り込んだうえ、のら働きまでさせたっていうじゃないか、他人ならまだしも、それが血肉を分けた親きょうだいのすることか、その中にはおふくろもいたんだろう、そのおふくろが病気だって、へ、いまになっておふくろだなんて、そんなことの云えた義理じゃあねえ筈だ」
「あらいらっしゃい」と云いながらおすえが勝手からはいって来た、「――あんた、お湯がもう沸きましたよ」
十六の二
今夜は酒を買って、なにかうまい物でも取ろう、そう云って栄二は勝手へいった。自分でするからいいというので、おすえはあとに残り、さぶに茶を出してやった。
「どうしたの」とおすえは囁き声できいた、「いま大きな声が聞えていたけれど」
さぶはわけを語り、これから夜道をかけて葛西へゆきたいのだと云った。
「それは困ったわねえ」
「栄ちゃんはおらのために肚を立てたんだ」とさぶはそっと云った、「おらがひどい扱いを受けたことで、栄ちゃんは昔から葛西を憎がってた、そんな者は親でもきょうだいでもねえって、――たしかに、おらの親きょうだいはひでえ人間ぞろいなんだ」