轻松读懂日语经典作品
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さぶ
さぶ
山本 周五郎
「週刊朝日」 1963(昭和38)年1月4日号~7月5日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 210,521 字 · 415 页
三の四
「いつか家出をしたい、なんて云ってたっけな」
「親が甲斐性なしで、子だくさんで、それも男のきょうだいはみな、ぐうたらべえ、姉さんとあたしと、下にいま十七になる妹があるんだけれど、この女きょうだい三人だけが苦労してきたし、これからも一生苦労しなければならないんです」
「姉さんはなんで死んだんだ」
おのぶはちょっと黙ってから、やはり眼を伏せたなりで云った、「心中なんです」
「しん――なんだって」
「好きな人と心中したんです。好きな人があるのに身を売られようとして」とおのぶはかぶりを振りながら云った、「――姉さんはあたしのように気が強くないし、その人も温和しいだけで心の狭い人のようでした、死ぬ覚悟ならどうにかなる筈なのに、小梅の祥門寺の墓地で首を吊って」
栄二は「飲めよ」と云っておのぶに酌をしてやり、おのぶは舐めるように酒を啜った。
三の四
栄二は「すみよし」を出ると、浅草にある和助の店へ向った。和助は芳古堂の職人がしらをしていたが、三年まえの五月に、東仲町へ香和堂という店をもち、経師屋として順調にやっていた。
「ひでえ親があるもんだな」あるきながら彼は呟いた、「話には聞いたこともあるが、本当にそんな親があるのかな」