轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
さぶ
さぶ
山本 周五郎
「週刊朝日」 1963(昭和38)年1月4日号~7月5日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 210,521 字 · 415 页
「なにが泥まみれよ、着物にちょっと土が付いただけじゃないの、ちゃんと払ってあるわよ」
「その泥じゃあねえ」
女と寝たんだ、しかも好きでもなく顔も覚えていないような女たちとだ。そう云おうとしたけれども、舌が動かなかった。
「そんなこと忘れなさい」おのぶはまるで彼の告白を聞きでもしたように云った、「――こんな話するの初めてだけれど、あたし十一のとしに、近所の六っていうやつに口を吸われたことがあるの、そのときあたしは自分の躯がすっかりけがれちゃって、一生きれいにはなれないと思って泣いたわ、いっそ死んじゃおうかとさえ思い詰めたものよ、でも五日たち十日たつうちに、だんだん気持がおちついてきて、自分の躯はけがれてなんぞいない、こんなことでけがれてたまるもんかって思うようになったわ」
「僅か十一の子にか」
「六っていうやつ、ほら、このまえ話したでしょ、十五、六からぐれだしたあげく、しまいには女衒にまで成りさがっちゃったわ」
おれはおのぶの兄だと云った、いつかのならず者のことを栄二は思いだした。
「じゃあ、あのときのやくざか」
「いま行方知れず、なかま内でなにか不義理なことをして、江戸にいられなくなったらしいの、うっかり帰って来れば、それこそ野詰めにされるって話よ」