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さんごくし

三国志

吉川 英治

06 孔明の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 页

青空文庫

それには発石車を製して虱つぶしに打ち砕くがよいでしょう」と献策した。

「発石車とは何か」

「それがしの領土に住む、名もない老鍛冶屋が発明したもので、硝薬を用い、大石を筒にこめて、飛爆させるものであります」と、図に描いてみせた。

曹操はよろこんで、直ちに、その無名の老鍛冶屋を奉行にとりたて、鍛冶、木工、石屋、硝石作りなど、数千人の工人を督励して、図のように発石車を数百輛作らせた。

まさに科学戦である――近代兵器のそれとは比較にならないがその精神や戦法は、たしかにそこを目ざして飛躍している。

車砲は口をそろえて烈火を吐いた。大石は虚空にうなり、河をこえて、人工の丘に、無数の土けむりをあげ、また、敵の櫓をみな木っぱ微塵に爆破してしまった。

「何だろう。あの器械は」

敵はもとより、味方のものまで目に見た科学の威力に、ひとしく畏怖した。

「霹靂車だ……。あれは西方の海洋から渡ってきた夷蛮の霹靂車という火器だ」

物識りらしくいう者があって、いつかそのまま霹靂車とよびならわされた。

それはともかく。河北軍はまた新しい一戦法を案出して、曹操を脅かした。

四

掘子軍というものを編成したのである。