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さんごくし

三国志

吉川 英治

06 孔明の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 页

青空文庫

四

葬儀委員長は、孫権の叔父孫静があたって、大葬の式は七日間にわたってとり行われた。

孫権は喪にこもって、ふかく兄の死をいたみ、ともすれば哭いてばかりいた。

「そんなことでどうしますか。豺狼の野心をいだく輩が地にみちているこの時に。――どうか前王のご遺言を奉じて、国政につとめ、外には諸軍勢を見、四隣にたいしては、前代に劣らぬ当主あることをお示し下さい」

張昭は、彼を見るたびに、そういって励ました。

巴丘の周瑜は、その領地から夜を日についで、呉郡へ馳けつけてきた。

孫策の母も、未亡人も、彼のすがたを見ると、涙を新たにして、故人の遺託をこまごま伝えた。

周瑜は、故人の霊壇に向って拝伏し、

「誓って、ご遺言に添い、知己のご恩に報いまする」と、しばし去らなかった。

そのあとで、彼は孫権の室に入って、ただ二人ぎりになっていた。

「何事も、その基は人です。人を得る国はさかんになり、人を失う国は亡びましょう。ですからあなたは、高徳才明な人をかたわらに持つことが第一です」

周瑜のことばを、孫権は素直にうなずいて聞いていた。

「家兄も息をひく時そういわれた。で、内事は張昭に問い、外事は周瑜にはかれとご遺言になった。