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さんごくし
三国志
吉川 英治
06 孔明の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 页
孔明を訪う
一
「母上っ……。母上っ」
徐庶は、冷たい母の空骸をかかえて、男泣きにさけびながら、その場に昏絶してしまった。
はや冬風のすさぶ中、許都郊外の南原に、立派な棺槨(墓地)が築かれた――。老母の死後、曹操が徐庶をなぐさめて贈ったものの一つである。
孔明を訪う
一
徐庶に別れて後、玄徳は一時、なんとなく空虚だった。
茫然と、幾日かを過したが、
「そうだ。孔明。――彼が別れる際に云いのこした孔明を訪ねてみよう」
と、側臣を集めて、急に、そのことについて、人々の意見を徴していた。
ところへ、城門の番兵から、取次がきた。
「玄徳に会いにきたと、その翁は、ひどく気軽にいうのですが……?」
と、取次は怪しむのであった。
「どんな風采の老翁か」と、訊くと、
「峩い冠をいただいて、手に藜の杖をついています。眉白く、皮膚は桃花のごとく、容貌なんとなく常人とも思われません」と、ある。
「さては、孔明ではないか」と、推量する者があった。――玄徳もそんな気がしたので、自身、内門まで出迎えに行ってみると、何ぞはからん、それは水鏡先生司馬徽であった。
「おう、先生でしたか」
玄徳は歓んで、堂上に請じ、その折の恩を謝したり、以後の無沙汰を詫びて、