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さんごくし

三国志

吉川 英治

06 孔明の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 页

青空文庫

六

今ですぞ」と励ました。

昼夜、攻撃また攻撃と、手をゆるめず攻めつづけた。しかし何といっても、河北の陣営はおびただしい大軍である。一朝一夕に崩壊するとは見えなかった。

「――敵の勢力を三分させ、箇々殲滅してゆく策をおとりになっては如何ですか。まずそれを誘導するため、味方の勢を実は少しずつ――黎陽(河南省逡県東南)都(河北省)酸棗(河南省)の三方面へ分け、いつわって、袁紹の本陣へ、各所から一挙に働く折をうかがうのです」

これは荀の献策だった。こんどの戦いで、荀※(「或」の「丿」に代えて「彡」、第3水準1-84-30)が口を出したのは初めてであるから、曹操も重視してその説に耳を傾けた。

六

※(「業+おおざと」、第3水準1-92-83)都、黎陽、酸棗の三方面へ向って、しきりに曹操の兵がうごいてゆくと聞いて、袁紹は、

「すわ、また何か、彼が奇手を打つな」

と、大将辛明に、五万騎をつけて、黎陽へ向わせ、三男袁尚にも、五万騎をさずけて、※(「業+おおざと」、第3水準1-92-83)都へ急派し、さらに酸棗へも大兵を分けた。

当然、彼の本陣は、目立って手薄になった。探り知った曹操は、