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さんごくし
三国志
吉川 英治
06 孔明の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 页
二
そこには、さきに機会を待てと止めてある裴元紹が、約五百の手勢と五、六十匹の馬をもってたて籠っている。関羽はその裴元紹にむかって、
「近いうちに自分が皇叔をお迎えして帰りにはここを通るから、その折に、一勢を引き具して、途中でお迎えしたがよかろう」と、伝言してやったのである。
孫乾はそばでそれを聞いていたので、関羽が誰にたいしても、かならず約束をたがえないのに感心していた。
日を経て関羽と孫乾は、やがて冀州の堺まできた。
明日からの道は、もう袁紹の領土である。孫乾は大事をとって、
「あなたは、この辺で仮の宿をとって、待っていて下さい。拙者はただひとり、冀州に入って、ひそかに皇叔にお会いし、計をめぐらして脱れてきますから」と、告げて別れた。
関羽はわずかな従者と共に、近くの村へ入ってただの旅人のごとく装い、村のうちでもたたずまいのいい一軒の門をたたいた。
主は、快く泊めてくれた。数日いるうちに、その心根も分ったので、何かのはなしの折、主の問うまま、自分は関羽であると姓氏を打明けた。
主は、驚きもしたり、また非常な歓びを示して、
「それはそれはなんたる奇縁でしょう。