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さんごくし
三国志
吉川 英治
06 孔明の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 页
二
翌、建安九年の春。
運河は開通し、おびただしい兵糧船は水に従って下ってきた。
その船に便乗して都からきた許攸が、曹操に会うといった。
「丞相には、袁譚、袁尚が今に雷にでもうたれて、自然に死ぬのを待っているのですか」
「ははは、皮肉を申すな、これからだ」
二
袁尚は、いま城にあった。
彼の輔佐たる審配は、たえず曹軍の動静に心していたが、淇水と白溝をつなぐ運河の成るに及んで、
「曹操の野望は大きい。彼は近く冀州全土を併呑せんという大行動を起すにちがいない」
と、察して、袁尚へ献言し、まず檄を武安の尹楷に送って、毛城に兵を籠め、兵糧をよび寄せ、また沮授の子の沮鵠という者を大将として、邯鄲の野に大布陣をしいた。
一方、袁尚自身は、あとに審配をのこして本軍の精鋭をひきい、急に平原の袁譚へ攻めかけた。
袁譚から急援を乞うとの早打ちをうけると曹操は、許攸に向って、
「これからだと、いつか申したのは、こういう便りのくる日を待っていたのだ」
と、会心の笑みをもらした。
「曹洪は、※(「業+おおざと」、第3水準1-92-83)城へ出よ」
と、一軍を急派しておき、彼自身は毛城を攻めて、大将尹楷を討ち取った。