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さんごくし
三国志
吉川 英治
06 孔明の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 页
三
してきた。
劉辟は、高覧と戦って、一戟のもとに斬り落され、趙雲は高覧へ飛びかかって、一突きに、高覧を刺し殺した。
しかし、わずか千余の兵では、ひとたまりもない。玄徳の生命は、暴風の中にゆられる一穂の燈火にも似ていた。
三
勇にも限度がある。
趙雲子龍も、やがては、戦いつかれ、玄徳も進退きわまって、すでに自刃を覚悟した時だった。
一方の嶮路から、関羽の隊の旗が見えた。
養子の関平や、部下周倉をしたがえ、三百余騎で馳せ降ってきた。
猛然、張の勢を、うしろから粉砕し、趙子龍と協力して、とうとう敵将張※(「合+おおざと」、第4水準2-90-10)を屠ってしまった。
玄徳ははからぬ助けに出会って、歓喜のあまり、この時、天に両手をさしのべて、
「ああ、我また生きたり!」と、叫んだという。
そのうちに、おとといから敵中に苦戦していた張飛も、麓の一端を突破して、山上へ逃げのぼってきた。
玄徳に出会って、
「味方の輸送部隊にあった都も惜しいかな、雄敵夏侯淵のために、討死をとげました」
と、復命した。
「ぜひもない……」
玄徳は、山嶮に拠って、最後の防禦にかかった。けれど、にわか造りの防寨なので、風雨にも耐えられないし、兵糧や水にも困りぬいた。