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さんごくし
三国志
吉川 英治
06 孔明の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 页
三
泊りを重ねて、徐庶が、都へ着いたときは、まったく冬になっていた。――建安十二年の十一月だった。
すぐ相府に出て、着京の由を届けると、曹操は、荀、程のふたりをして、鄭重に迎えさせ、翌日、曹操自身、彼を引いて対面した。
「ご辺が、徐庶元直か。老母は息災であるから、まずその儀は安心したがよいぞ」
三
「ご恩をふかく謝します――」と徐庶はまず拝礼して、
「して、母はどこにおりましょうか。願わくは、一刻も早く、遠路より来た愚子に対面をおゆるし下さい」と、いった。
曹操は、幾度もうなずいて見せたが、
「お身の老母は、つねに程※(「日/立」、第3水準1-85-21)に守らせて、朝夕、何不自由なくさせてあるが、今日はご辺がこれに参るとのことに、彼方の一堂に迎えてある。後刻ゆるりと会うもよし、またこれからは、長く側に仕えて、子たるの道をつくせ。予もまたそちの側に在って、日々、有義な教えを聞きたい」
「丞相の慈念をこうむり、徐庶は愧感にたえません」
「だが、ご辺のような、孝心に篤い、そして達見高明の士が、なんで身を屈して玄徳などに仕えたのか」
「偶然なる一朝の縁でございましょう。