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さんごくし
三国志
吉川 英治
06 孔明の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 页
「いや、その劉玄徳どのなら、四日ほど前までここにおられたが、城中の小勢を見て、この勢力では事を成すに至難だと仰せられ――また各※(二の字点、1-2-22)の消息も、皆目知れないので、ふたたび河北の方へもどって行かれた。まったく一足ちがい――」
しきりと惜しがって劉辟はいうのである。
一歩の差が時によると千里の距てとなる例もままある。関羽は憂いを面にみなぎらし、怏々と汝南を去った。
むなしく古城へ帰ってきたが、孫乾はなぐさめて、
「この上は、拙者がもう一度、河北へ行ってみましょう。ご心配あるな。かならずお伴れ申しますから」
すると張飛が、河北へなら自分が行こう、と進んで云いだした。けれど関羽は、
「いま、この一つの古城は、われわれ家なき義兄弟にとっては、重要な拠点だから君は断じてここを動いてはいかん」と、遂に孫乾を案内とし、わずかの従者をつれて、関羽は遠く河北まで、玄徳をさがしに立った。
その途中、臥牛山の麓までくると、彼は周倉を呼んで、
「いつぞや、ここで別れた裴元紹のところへ、使いに参ってくれい」
と、一言を託した。
二
周倉はひとり関羽に別れて、臥牛山の奥へはいって行った。