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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页

青空文庫

「気のどくだが、きさまの二丁鉞斧ぐらいではの」

「歯が立たねえッていうんですか」

「こんどの歩騎総指揮官は、河東の名将、呼延賛の玄孫灼だ。左右両翼の将軍も名だたる人物。うかとはかかれん。宋先生には、まだご発言もないが」

「いうほどな名智も出ません。しかし待つよりは、野戦に出る。そして野戦は正しく相手の力を見せましょう。一応、そう考えられるが」

「同感です。ならばこの戦法と配列ではどうでしょう」

呉用がさいごの案を出した。

それによれば、まず霹靂火の秦明の隊を先鋒に出す。つづいて豹子頭の林冲、小李広の花栄、一丈青の扈三娘、病尉遅の孫立――などを二番三番と順次に置く。

これが、車輪となって、入れかわり立ちかわり、敵陣の先頭を打つ。

みだれに乗じ。

右翼五将の五隊。

左翼五将の五隊。

つまり十隊二陣が鶴翼となって敵をつつむ。そしてまたべつの二隊は舟軍として水路を行き、敵の想像もなしえぬ地点から上陸して虚をさらに衝くという兵略だった。

大寨の泊兵はただちにこの兵図式のもとに泊を離れて遠く平野に出て行った。見れば、かくあらんと、敵は察知していたかのようである。柵を打ち、木戸を設け、地雷を伏せ、堅陣厚く、