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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
そこでついには、盧俊儀の大喝を食って、急に縮み上がり、否やもなくなったようなわけだった。
ともあれ、それから三日後。
十数輛の馬車と人夫と、そして先発の李固とが、貨物の商品や旅の必需品をつんで、盧家の倉前から西南へ立って行った。――ときに、盧の細君の賈氏が、その遠ざかる馬車の上を見送って、ふと、ぽろりとして、あわてて奥へひっこんだ。――ということなど、もとより盧の大旦那は何も知っていない。
あとにのこって、一夜はなお、何かと、家事の始末など留守の者にいいつけ、そして翌朝は早くから、先祖のまつりなどして、さて、旅衣さわやかに、腰には、彼が得意としてほこる棒術の一棒を横たえ、
「では、行って来るからな。火の用心と、体だけを、気をつけろよ」
と、妻の賈氏へ言い残した。
「あなたこそ……」と、妻は打ち萎れて「旅では、食べ物にも、お気をつけてくださいね。そして一日もおはやく」
「うむ、百日もたてば、帰って来る。……おう燕青、おまえにも、たのんでおくぞ」
「はい。行ってらっしゃいまし。どうも早や、こうなっては、お留守のご安心を願うしかございません。お心丈夫に」
「などといっても、おまえは元来諸所方々でちともてすぎる。