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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页

青空文庫

諸君、わかってくれたであろうか」

「……なるほど」

百七人、みな、うなずいた。

それきり宋江の至誠を嘲うどころか、みな恥じる色だったが、いかんせん、せっかくな重陽の宴は理におちて、浮かれず仕舞いの散会となってしまっただけはぜひもない。

が、梁山泊にとって、記念すべきこの重陽の会は、決して無意味ではなかった。それは宣和二年九月九日のことで、明ければ、

宣和三年一月。

宋江は、思うところがあって、俄に、宋朝廷の都、開封東京へ行くことになった。

もちろん、人目を忍んでの旅行である。

同行は十人。――二人一ト組となって、戴宗は浪子燕青と、武松は魯智深と、朱同は劉唐と、史進は穆弘と、そして宋江は柴進と連れ立ち、年暮うちに山を出て、正月十五日の元宵節を前に、一行は帝都の万寿門外の旅籠に着いた。

宋江の目的が、燈籠祭りやただの都見物でないことは明らかで、要は他日のためだった。輦轂の下の人心も知っておきたいし、王城内外のじっさいも見ておきたい。

元々、彼は山東に古い地方官吏の子であるが、まだ一ぺんも東京は見ていなかった。それにしても、いちど冤罪の罪でも兇状持の金印を額に打たれた身が、どうして京師の人中へ出られたろうか。