轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
衛兵の見える公邸の門を入ると、林冲を伴った迎えの者は、
「あれなる中門を通って、東の殿廊を進んでいかれい。そこの階に、召次の者か副官がお越しを待っておいでになろう」
教えられるまま、彼は奥へ進んだ。けれどそこには誰も立ち迎えていない。
「はてな?」
振り返ると、彼方で見知らぬ衛兵が、黙って、北廊を指さしている。さては教え違いか聞き違いかと、北へ進むとまた一門があった。すでに禁苑の一劃とおぼしく、美々しい軍装の近衛兵が戟を持って佇立していたが、林冲を見ると、唖のごとく黙礼した。禁軍師範の林冲も、まだかつて、こんなところまでは来たこともない。
だが弱った。いったいどこを訪うたらよいのか。壮麗なる一閣の階を上って、内を窺うと、さらに中庭が見え、彼方に緑欄をめぐらした一堂があるのみだった。
「……あれかな? なにやら人の気配もするが」
橋廊を渡って、一房の珠簾内をそっと覗いてみた。すると、正面の欄間の額に、墨の香も濃く読まれたのは、
白虎節堂
とある四大字。林冲はぎょッと、立ち竦んで、
「や。これはいかん。節堂は軍の機密を議するところで、枢機に参ずる高官のほか立入りならぬところと聞いておる。