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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页

青空文庫

と階段の中途から、皆、どたどたと引っ返して来た。戻るが早いか、阮小二は杜選に抱きつき、小七は朱貴を、小五は宋万を抱きとめた。

そして、晁蓋と劉唐とは、ぴたと、王倫の両わきへ寄り添い、

「まあ、そうお腹を立てないで」

と、袂の下から、環帯の腰の辺を、ぎゅっとつかんで離さない。

「なんたるつらだ。王倫っ。それが頭領の態度か。恥を知れ、この落第書生め、仁義の皮をかぶッた偽者め」

一方の林冲は、なお罵りつづけている。その林冲の胸先をかろく制して、呉用の位置は、彼を遮るような恰好を見せてはいたが、眼は王倫の姿を焦点に燿いていた。

「女の腐ッたような奴だ。それで梁山泊の頭目などとは片腹いたい。いやこの梁山泊は、きさま一個のものじゃあない。人をそねむ賊の頭目など、舌を噛んで死んじまえ。さもなくば、きさま自身、どこへでも立ち去るがいい」

林冲は罵りつづける。その面罵に、王倫はぶるぶる五体をふるわせ、地だんだを踏み鳴らしたが、足掻きも、前へは踏み出せない。

しかもまた、杜選、朱貴、宋万といった手輩も抱きとめられてはいるし、辺りの空気もただならないので、みずから行動には出なかったが、