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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
……一別以来のご無沙汰の段を、悪しからずと、一同からもくれぐれな伝言でございまして」
「ヤ、お手をお上げ下さい。給仕人が来る、そんな慇懃では怪しまれます」
「では、ご免なすって」と、劉唐も椅子につき、杯、数献を交わしながら、声ひそめて、「――お蔭でただ今では、梁山泊に七、八百人の子分を擁し、山の規律なども一新してうまくいっております。これもみな、大恩人のお蔭と、晁頭領以下、夢寐にも忘れたことはございません」
「そうかい。それはまあ、みな息災で、何よりでした。それにいい便りを聞かして貰ってわしもうれしい」
「ところで、まことに、失礼ではございますが、何をもって、一同の心をお報いしたらいいかと相談の末、ここに晁頭目のお手紙と黄金百両とを、てまえ托されて参りました。どうぞ一同の寸志と思って、お収めなすっておくんなさいまし」
「それほどまでに……」と、宋江はうやうやしく頭を下げ、
「ではいただいておく」
と、差出された書簡ならびに封金十箇のうちの一箇だけを取って、ふところへ納めた。
劉唐は、ちょっと、まごついて言い足した。
「押司さま。どうぞあとの九十金も、そちらへ」