轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页

青空文庫

「すみません。とんだ粗相をして。……もしやお沓でも踏みはしませんか」

「いえ、なあに」

男は洒落者ごのみな頭巾をかぶり、年ごろは三十四、五。ぼってりと色の小白い旦那風であった。

ほんの行きずりの出来事。それ以上は、多くをいう機ッかけもなく、男は行き過ぎてからチラと振り返った。すると金蓮もまた振り返っている。

男はせつなに何かぞくとでもしたらしい。急にその足を斜めに向けて、金蓮の家のすぐ隣の茶店の内へ入ってしまった。

「まあ、おめずらしい。なンてまあ、今日は風の吹き廻しなんでしょうね」

茶店の王婆さんは下へも措かない。――これなん、こんな安茶店の床几へなど滅多にお腰をすえる旦那ではなかったもの。

県城通りの槐並木に、ひときわ目立つ生薬問屋がある。陽穀県きっての丸持ちだともいう古舗だ。男はその薬屋の主人で名は慶、苗字は二字姓の西門という珍らしい姓だった。

この西門慶は、男前もちょっと良かった。それに県役人の間にも頗るな顔きき。とかく金の羽振りというものか街中では彼の姿に小腰をかがめて通らぬはない。――で、王の茶店婆さんなどにしてみれば、なおのこと、掃溜の鶴とも見えたに相違なかった。