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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
「劉高も捕えたでしょう。這奴をここへお連れ下さらんか」
というと、賊のかしらたちは、事もなげに笑って言った。
「その劉高は、とうにあの世の亡者です。連れて来るには十万億土まで呼びに行かなければなりません」
「や、もう斬ってしまったのか。やれやれ、無造作な」
「でも先生。あんな野郎は、なにもそう惜しがることアございますまいに。……それよりは今度こそ、劉高が持っていたあの女を、この王矮虎に授けておくんなさるでしょうね」
「まだあんな執着を捨て切れねえでいやがる。なんて鼻の下の長い奴だろう」
矮虎の顔を指して、一同はどっと笑った。
あくる日になると、物見の報が入った。――先に黄信が劉高の手に乗って宋江と花栄を檻車に封じたことも、また何から何まですべての予察は、みな彼ら特有なこの“飛耳張目”の探りによっていたのである。
「黄信が鎮台兵を召集している!」
するとまた、翌々日には。
「いやそれよりも、青州一の兵馬総監、霹靂火の秦明が、兵五百騎でやって来る!」
つづいては、同日の晩から翌朝にかけ。
「一路、青州街道からここの北麓の下へ近づくらしい」
「すでに七十里先に見えた」