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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页

青空文庫

雑魚と怪魚の騒動の事。また開く琵琶亭の美酒のこと

戴宗のお国自慢は何かとつきない。宋江もすでに微酔気分である。ひとりまだまだ飲み足らないようなのは、黒旋風の李逵だった。

「どうもお二人さんともお行儀がいい。こっちは手酌とゆきますぜ」

「李逵」

「へ?」

「まるできさまがお客のようだな。おれのも宋君のお肴も、料理はみんなきさまひとりで平らげてしまったじゃないか」

「いや、塩ッ辛い今し方の吸物なんぞは、宋江さまのお口に合やあしませんよ。もっと美味いのをいいつけます」と、李逵は手をたたいて。

「おういっ、料理場の若いの、ちょっと来い」

「お呼びですか。お客さん」

「おう、てめえが板前か。よくもおれたちを名所見物のおのぼりさん扱いにしやがったな」

「と、とんでもない。何かお気に入りませんでしたか」

「あたりめえだ、中華の米の郷、鮮魚の郷といわれるこの江州でいながら、死んだ魚の飴煮や吸物なんぞ食わせやがって」

「どうも相すみません。じつは昨日の材料なんで、活きた魚は今日はまだ」

「不漁だっていうのかい」

「いえ。そこの鼻ッ先まで舟は着いてるんですが、問屋の親方が来ないため、まだ市場の水揚げが始まッていませんので」

「そうならそうと、なぜ断わらねえんだ。