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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页

青空文庫

と、すぐ四人は、元の琵琶亭へひきあげ、からくもこの大騒動は一トまず無事におさまった。

そこで李逵、張順、各※(二の字点、1-2-22)ズブ濡れの衣服を着かえ、髪をたばね直し、そのまに水欄の灯と酒のしたくなど皆、新たな宵をととのえていた。

「さ、みな杯を持ってくれ」

戴宗も、挙げて、和解の音頭をとった。

「雨降って地固まるだ。二人ともこれからは、兄弟分の誼みをもってつきあうがいい。あれほど派手な喧嘩をすりゃあ思い残しはないだろう」

「意趣は何ものこしません。じゃあ、黒旋風の兄貴」

「おやおや、おれが年上かい。張順、よろしく」

次に宋江が、控え目に名のった。

「山東の黒宋江です。張順さん、あなたのご実兄の張横さんとは、掲陽鎮でお目にかかって、いろいろお世話になっています。どうか以後はお見知りおきを」

「えっ、では山東城県の押司、宋公明さんだったんで。どうも、こいつあ驚き入った。じつは掲陽鎮の兄からも、とっくに手紙が来ていました。ぜひお目にかかれといって」

「そうでしたか。まことに奇遇だ」

「いやこの張順も、はからずお三名の豪傑に、一夕一堂のうちでお目にかかり、こんなうれしいことはございません。