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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页

青空文庫

と、村道の見張りから報らせて来た。

「えっ。呉学究どのがお見えだと?」

折も折である。

宋江は丘を下って、そも何事かと、呉用を迎えた。

一行は五百人。呉用をかしらに、阮ノ三兄弟、呂方、郭盛なども加わっていた。そして一行中の車には酒、乾肉など多量な物資まで持ってきたので、その夕は、これが全軍にねぎらわれ、久しぶりに陣地には生色がよみがえった。

「総統の晁蓋どのを初め、山寨では、えらくあなたのお身を案じていますよ」

呉用のことばに。

「いや面目もありません」

宋江は、一そう沈んだ。

「して、ご近況は」

「二度も惨敗をかさねました。のみならず、楊林、黄信、さらに秦明、飛と四人までも、敵の囚われとさせてしまうほどな始末で」

「それも途中でききました。一丈青を差立てて行く味方の者から」

「もし、林冲がなくば、あの功もなかったところです。何たる愚将でしょう。わらって下さい。晁総統には、もはや会わせる顔がありません」

「は、は、は。そうご卑下にはおよぶまい。誰が来て指揮をとっても、ここの祝氏の独龍山の備えでは、同程度の損害は避けえられん。……しかし、宋副統、機会は来ていますぞ」